先入観は一回捨てて
久しぶりに現役の少年漫画を読んだ。
「アクタージュ」
という漫画だ。
この漫画の存在は知っていたが2つの理由で読むことを避けていた。
一つは、巻数だ。アクタージュは現在12巻まで刊行している。
大抵の漫画は5巻を超えると手が出しづらくなるものだ。
特に少年漫画は新刊のペースが早く、途中から読み始めるのは少し厳しい。
二つ目は、題材だ。
この漫画は"役者"を題材としている。
一般的に見て、役者という題材は、少年漫画に向いていないように思われる。
そして、私は役者の物語が全く想像できなかった。
スポーツ漫画であれば、どのように盛り上がる漫画なのか、どこに面白さがあるのかはある程度想像がつくが、役者という仕事ではそれは難しい。
以上の理由から、この漫画を避けていた
が、何の気無しに読んだ1話で、全部がひっくり返された。
話の外観としては、
「役者として才能のある少女が、オーディションに参加し、周りの度肝を抜き、1人の監督に見出される」というどこにでもある普通の1話だ。
だが、私が引き込まれた理由は別にある。
そもそも、私は役者の世界は何も知らない。
もちろん、どんなテクニックがあるのか、何を努力しているのか、何を持って才能があるとするのか、などは知る由がない。
そんな私が、熱くなれたのだ。
全く知識のないジャンルの作品に、引き込まれてしまうというのは初めてではない。
ヒカルの碁やハチワンダイバーなど、知識がなくても十分に楽しめる作品は沢山ある。
それらの作品の共通点は何か。
それは、単にキャラクターの描き方の巧妙さである。
この漫画の1話にあって、なろう系などのチープな物語にないものがそれだ。
すばらしい漫画のキャラクターは、ストーリーに乗せられない。
彼らの考え、言動、行動、それら全てがストーリーとなるのだ。
アクタージュもまさにそうだ。
単なるサクセスストーリーに、主人公:夜凪景は乗せられてはいない。
「役者の漫画だから役者を目指す」のではなく、彼女自身が、「役者でないといけないから役者を目指す」のだということが伝わった。
1話でグッと熱くなってしまった私はそのまま一気に読み上げた。
巻数の憂いなどとうに忘れてしまった。
この文はあくまで紹介文であるから、これ以上のストーリーは書かないが、「役者の漫画?よくわからないし、やめとこう」なんて思ったら、とりあえず1話でいいから読んでみてほしい。
追記:王様達のヴァイキングを読んだ人はきっと好きになる。